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『墜落遺体 飯塚訓』 ~日航機墜落事故を知らない世代へ薦める本~

 

こんにちは。くろくまです。

 

ここ数日、いよいよ夏が来たな~、と思わせるような暑い日が続いていますね。 

僕は神奈川県在住ですが、子供のころは群馬県で育ちました。

毎年夏の暑さを感じ始めると、子供のころ自分の住む県で起こった

日航機墜落事故』の記憶がよみがえります。

 

僕らの祖父祖母世代が『夏』に戦争の記憶を重ねるように、

僕も墜落事故の記憶を、毎夏思い出しながら過ごしていくのだと思います。

 

事故から32年~

 

今日、職場で日航機墜落事故の話題になりました。

するとある若い子が『事故のことを知らない』と言うんですね。ちょっと驚きました。

考えてみると、今年で32年も経つんですね。無理もありません。

 

事故が起きたのは1985年8月12日。今年もあと1か月で、慰霊の日を迎えます。

今の世代の人たちが、これから事故のことを知ろうと知るまいと、

何も変わらないかもしれません。

ただ、一瞬で奪われた520人もの尊い命を考えると、

少しでも多くの人が事故の記憶を持ち続け、そして下の世代に伝えていくことが

犠牲者の霊を慰めることになるのではないかと感じています。

 

 

そんな気持ちから、今日は一冊の本を紹介します。

慰霊の日までの1か月の間に、手に取っていただける方がいれば良いなと思います。

 

~墜落遺体 御巣鷹山日航機123便   飯塚訓~

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

 

 

この本はノンフィクションです。

著者は事故当時、実際に群馬県警に勤務しており、事故発生後は

身元確認班長に任命されました。

つまりこの本には、当時、またその後の報道で知りえる情報以外の、

リアルな現場の実情がびっしり最後まで描かれています。

 

この事故が悲惨を極めた大きな理由として、登山路も無いような急峻な尾根に

墜落してしまったことがあります。520人もの遺体です。しかも墜落遺体です。

現場にたどり着くのも困難な状況で、原型をとどめていないような人の身体、

あるいは身体の一部を、まずは全て麓までおろさなければならないのです。

(※520人とは別に、奇跡的に4人の生存者がいました。)

 

8月12日です。真夏の暑さであっという間に腐敗も進みます。

麓におろした後も、身元を照合するために遺体を並べ、検死していく必要があります。

藤岡市の体育館が使われました。事故後、当然建て替えです。

遺体の数に対してスペースが足りず、周辺の高校の体育館も使われたそうです。

 

マスコミのシャットアウトが主目的でしょうが、検死作業は暗幕で閉ざされた中で

行われました。体育館内部の様子は、報道ではうかがい知ることはできません。

この本は著者が当事者ということで、記録資料的な要素も含まれています。

遺体一つ一つのエピソードが実に丁寧に記録されており、

読んでいて胸が熱くなります。その臨場感は、臭いすらしてきそうなほどです。

 

実際、現場は凄惨極まりないものだったようです。

腐敗した遺体の指から皮がはがれてしまうので、はがれた皮を自分の指にかぶせて

指紋を採取したとか・・・。

レントゲンを撮ったら、大腿骨に埋まった別の人の顔(歯)が写ったとか・・・。

(衝撃で遺体同士がめり込んでしまうんですね)

 

読了後、ずっしりと全身を疲労感が襲うかもしれません。

また凄惨な描写に、気分を悪くする方もいるかもしれません。

でも、それだけ大変な事故が実際に起き、それだけたくさんの犠牲者と

事故に命懸けで携わった人たちがいたことを、ぜひ知ってほしいと思います。

偉そうなことを言うつもりはありませんが、記憶に残しておくべき事故だと、

僕は思っているからです。

 

まだ慰霊の日は先ですが、犠牲者の皆様、どうぞ安らかに。お祈り申し上げます。

くろくまでした。