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涙流れるままに~ 島田荘司ミステリの吉敷竹史シリーズ 

こんにちは。くろくまです。

 

いよいよ読書の秋ということで、

今日は久々に小説の紹介をしてみたいと思います。

 

僕は島田荘司作品が大好きなのですが、有名なのはやはり御手洗潔シリーズですよね。

そしてもう一つ有名なのは、警視庁捜査一課の吉敷竹史を主人公とするシリーズです。

今日はそちらのシリーズから『涙流れるままに』をご紹介します。

 

 

~涙流れるままに~

 

あらすじ~

 

警視庁捜査一課の刑事、吉敷竹史は、上司の峯脇と中年女性が

喫茶店でいさかい合う場面に出くわす。

女性の話では、自分の夫は冤罪で死刑になろうとしており、再審請求のためには

自白を強要した峯脇の証言が必要なのだという。

 

聞けば四十年も前の事件であるが、吉敷も耳にしたことのある名の通った事件だった。

自らの属する警察組織が、不当な捜査で冤罪を生み、

真実を闇に葬り去ろうとしている。しかも死刑案件である。

吉敷は独自に捜査を開始することにした。

 

事件を追いかける中で、吉敷は別れた妻、通子につながる情報を手に入れる。

かつて通子は古い知り合いの悪事に利用されたため、吉敷のもとを去ったのだが、

その古い知り合いが今回の冤罪事件にも絡んでいるようなのだ。

 

今回の事件を追いかけることが、通子の不遇な過去を洗い出していくことにもなり、

吉敷は苦悩しながらも捜査を進めていく。

 

警察、検察の事件関係者は、この事件については不当な捜査など存在せず、

あくまで秩序を守る一環として正当な捜査を行い、解決したものと考えている。

そんな彼らにとっては、吉敷の行動は組織に対する暴走・反逆にしか映らない。

 

一つ一つ手掛かりをつかみ、事件の本当の姿に近づく吉敷。

組織を辞する覚悟さえ固めた吉敷は、

真実を明らかにする証拠にたどり着けるのか・・・・。

 

 

悲しみの描写~

 

時間軸、人間関係ともに壮大なストーリーです。

大きく分けて二つの要素が物語を構成しています。

一つは吉敷の出会った中年女性が話す冤罪事件。

そしてもう一つが吉敷の別れた妻、通子の不遇な人生描写です。

 

この二つの話が少しずつ接点を持っていきます。

 

吉敷という主人公は、この作品から読んでもすんなり人物イメージは

入ってくると思います。ただ通子については、吉敷シリーズの別作品

『北の結鶴2/3の殺人』や『羽衣伝説の記憶』あたりを読んでからの方が

分かりやすいかもしれません。

 

というのも、この作品のタイトル『涙流れるままに』の通り、

通子の過去が描かれるにあたって、その悲しさが本作の読みどころだと思うのです。

先に通子の登場する作品を読んでおくことで、『涙流れるままに』の深みが

いっそう増すと思います。

 

 

島田荘司先生の作品の中では、荒っぽさというか力強さを感じるような構成で、

僕は読んでいてたまらなく悲しくなったり、怒りを覚えたりしました。

読みながら感情を激しく動かされた、という意味では、

僕の読書経験の中では1・2を争う作品です。

 

吉敷竹史シリーズは、御手洗シリーズとはまた違った魅力がありますので

おススメいたします。ぜひ読んでみてください。

くろくまでした。